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5日間のゲーム

年上の男性→ ←メル友に恋しちゃった・・・

本日の体験談は番外編です。出会い系サイトではありません。
私がその人に巡り会ったのは、某ポータルサイトのゲームコーナー・・・。


我が家には父の仕事の関係で、一般家庭に普及する以前からパソコンがありました。
ブロードバンド時代より前、いわゆる「テレホーダイ」が全盛期だった頃。
(テレホーダイって何?って方はこちらをどうぞ)
私は時間さえあればYahoo!のゲームコーナー内のオセロのコンテンツで遊んでいました。
無料で出来るし、夜は人もたくさん居るので、
毎回毎回違う人とオセロで対戦することが楽しみでした。
この頃の私は、友人関係や将来のことで悩んでいたため、
学校も休みがちで家の中に引きこもり、あまり外へ出ようとしませんでした。
そんな時に父にパソコンを教えてもらい、インターネットの世界を知ってから、
ますます外へ出ようとしなくなりました。
 
この時代に、10代の女の子がパソコンをやっているなんてとても珍しいらしく
オセロ中の会話で自分が高校生であることを言うと、相手はとても驚いていました。
その反応が面白くて次第に会話にも熱が入り、オセロを楽しみにしていたはずが、
いつのまにか、ゲームの対戦相手と話す方が楽しくなってしまったのです。


ある日、いつもはテレホーダイの時間ではなく、珍しく昼間にネットを繋ぎ、
いつものようにオセロをしようと思いました。
この時間はあまり来たことがなく、夜に比べると人が殆ど居ないことに驚きました。
しかし、Yahoo!のゲーム内では一番人気のオセロのコーナーにはそれでもわずかに人がおり、
オセロや会話を楽しんでいる人たちが居ます。
私も早速オセロに参加して、何人かの方と対戦しました。
会話はあまり弾まず、ゲームをすることが目的の人が多いように感じました。
しかし、次に対戦した人は結構話をするのが好きらしく、オセロよりも会話ばかりしていました。
その人は、私よりもひとつ年上。
東京に住んでいて、定時制の高校に通っているらしい。
こんなに歳の近い人とネットで話をしたことが無かったので、
私は少しだけ相手に興味を持ちました。


次の日。
私はまたその人がいるかなと思い、同じ時間にオセロコーナーへ。
すると、彼はいました。
他の人と対戦中だったので、相手が部屋から出るのを見計らい、
私は彼のところへ行き声をかけました。
 
「こんにちは、昨日もいた人だよね?」
「あ、いつもこの時間に来てるの?」
「ううん、○○くんがいないかなーと思って来てみたの^^」
 
相手も私を覚えていたようで、なんだか嬉しくなりました。
そして、なんと彼も私と同じように、この時間に私が居ると思いわざわざ来たそうです。
この日もゲームより会話が弾みました。
 
「普通の高校通ってるんだよね?なんでこの時間にいるの?」
「学校行きたくなくて、最近休んでるの・・・」
「どうしたの?何かあったの?俺でよかったら聞くよ^^」
その言葉を聴いて、私は現実世界での悩みや不満を話し始めました。
こんなことを昨日知り合ったばかりの人に言ってどうするんだろう・・・
と思いつつも止められませんでした。
いろいろと話していると、だんだんと私の方は熱が入ってしまい、
気づくと話し始めて5時間以上も経っていました。
「長い時間付き合わせてごめんね」
「ううん、いいよ。少しはすっきりした?」
「ありがとう。おかげで少し楽になれたかも」
「そろそろ学校いくから落ちるね」
「うん、ばいばい」


そして次の日。
彼はまた来ていました。
自分のことばかり話してしまって、凄く迷惑なことを相手にしたなと思い、
私は彼に謝りに行きました。
「こんにちは。昨日はほんとにごめんね」
「ううん、別に気にしてないよ。それよりも、今日は俺の話を聞いてくれる?」
昨日とは逆の立場になり、謝る前に、彼が私に自分の今の悩みや不満を語りだしました。
それが、聞いていると、昨日の私と同じような悩みだったのです。
彼もいろいろとストレスがたまっていたようで、私の反応を気にせずにどんどん喋っていました。
そして、同じように時間が過ぎ、いつの間にか夕方に。
彼は昨日と同じように学校へ行ってしまいました。


次の日も2人でオセロのコーナーへ。
この日も殆ど喋っていました。
「知り合ったばっかりの人にあんなに自分のことを喋ったのは初めてだよ」
「うん、俺も」
「それも同じような悩みを抱えていたなんて、なんだか不思議だね」
「でも、同じように悩んでいる人が居るってわかって、少しホッとした」
「うんうん。私も○○くんの話を聞いて、自分のことを客観的に見れてよかったかも」
「そっか、じゃあお互いにいろいろ話してよかったかもな」
たった3日しか話していないのに、この時点で何でも知っているような友達になれた気がしました。


次の日。
今日もまた彼とオセロのコーナーでおしゃべり。
彼とのおしゃべりの時間だけが、私を私らしくしてくれる時間。
突然彼は言いました。
 
「カレルに会ってみたいな。会ってちゃんと話してみたい」
「そうだね。私もいつか会ってみたいなー」
「いつかじゃなくて、今会いたい」
「え、今?」
「なんか、今すぐって勢いを付けないと、一生会えない気がする」
「・・・・まぁ、そうかもしれないね・・・。でもちょっと怖い」
「怖いって俺が?」
「うん・・・」
「俺って信用できない?あんなにいろいろ話したのに」
「確かにいろいろ話したけど、見ず知らずの人の会うのは勇気がいるよ」
「俺だって、今勇気を振り絞って誘ってるんだけど、伝わらないかな、俺の気持ち」
「ごめん、ちょっと考えさせて・・・」
 
そう言って、この日は終わりました。
一晩中考えました。
彼は私と似ている。
お互いにお互いを必要としているけど、それは現実逃避の為。
会っても大丈夫かな?
会ったら、自分が変わっちゃいそうな、でも変わりたくないような気もする。
どうしたらいいんだろう・・・。


そして、次の日。
2人が出会って5日目。
彼は昨日の話を口に出さず、普通に会話したりゲームをしました。
(何も言わないって事は、私に判断を任せてるのかな?)
私も彼に少なからず興味があったし、それ以上の感謝の気持ちを伝えたかったから
会いたいなと思いました。
それに、ここで自分から行動を起こせば、今の自分から少し変われるかもしれない・・・。
私は決断しました。
 
「あのさ、昨日会いたいっていったじゃん?まだその気ある?」
「うん会いたい。カレルは俺に会ってくれる?」
「うん、いいよ。会おっか」
「ほんとに!超嬉しい!じゃあさ、いつ会う?」
「明日でもいい?」
「え、マジ?明日?」
「勢いで会わなきゃ一生会えないような気がするのは私だって同じだよ。
だから、明日にしよう。」


そして、次の日を迎えました。
この日は日曜日。
親に友達と出かけてくるといい、私は東京方面へ向かいます。
私の住んでいるところから東京まではバスで2時間。
そんなに遠くではありません。
ひとりで東京へ行ったことが無かったので、少し不安でしたが、
彼に会えるんだと思うだけで、無限のチカラが沸いてくるような気さえしました。
バスの中では悶々と今までの出来事がよみがえってきます。
そのうちにバスは彼と待ち合わせの駅へ。
お互いに顔は知らないし、携帯電話も持っていません。
でも、私はすぐに彼だとわかりました。
 
「あの、○○くん?」
「あ・・・カレル?」
「うん、ほんとに東京まで来ちゃった」
「会えて嬉しいよ!思ったよりも可愛くてびっくりした。もっと暗い子だと思ってたから(笑)」
「うわ、ひどーい」
 
初めて会ったような気がしませんでした。
5日間しか話していないのに、昔から仲がいい友達のような気がしたのは、相手も同じだったみたいです。
お互いに、お金もないし時間もなかったので、マックへ入りジュースだけ買いました。
2階の隅の席へ座り、少し緊張しつつも、お互いに色々なことを喋りました。
学校のこと、友達のこと、将来のこと。
こういう楽しい時間というのは瞬く間に過ぎて行くもの。
あっというまに私が帰らなければいけない時間になりました。
別れの時。彼は言いました。
 
「なぁ、お互いに会うのはこれっきりにしないか?」
「え、今日はじめて会ったのに・・・?」
「俺たち、凄く似てるよな、考え方も、趣味も、悩み方もなんでも似てる」
「うん」
「だからなんでもお互いに分かった気で居るけど、結局最後はただの現実逃避にしかならないよな」
「・・・・・・」
 
彼の思いは、私の思いでもありました。
彼と私はとても似ているので、一緒にいたら凄く楽しいだろう。
しかし、そのままではいけない。楽しいかもしれないけれど、自分達は何も変われない・・・。
もっと前を向いて進まなきゃ行けない・・・。
 
「わかった。でも今日会えて凄く嬉しかったよ」
「俺も。来てくれてホントに嬉しかった」
「・・・・・」
「・・・・・」
 
いろいろな感情があふれてきて、私は思わず泣いてしまいました。
そんな私を見ている彼の顔も、なんだか泣きそうに歪んでいて、懸命に耐えていたようです。
そして、帰りのバスの時間。
彼はバスに乗ろうとする私の体を引き寄せ、ぎゅっと抱き締めました。
男の人に抱き締められたのは初めてでびっくりしました。
でも、まったくドキドキしなくて、なんだかあったかいな〜なんて思ってしまいました。
彼の腕からそっと抜け、私は言いました。
 
「じゃあね、もうオセロは行かないよ」
「うん、学校には行けよ(笑)」
「○○くんもね(笑)」


この日を境に、私はオセロに行かなくなりました。
彼もたぶん行かなかったと思います。
それからというものの、私は少しずつ学校へ行くようになりました。
やっぱり学校へ行くのはあまり好きではないけれど、それでも行こうという気になれました。
彼も私も5日間のゲームで少し大人になり、変われたのかもしれません。
彼とはまったく連絡をとりあっていないし、彼が今何処で何をしているのかわかりません。
私は今でも彼に感謝しています。
もしまた会えたなら、再び「ありがとう」と言いたいです。


たった5日間だけど、人生で一番波乱万丈な5日間でした。


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